はてさて、我が家にMacBook Airが届いてからかれこれ1週間以上が経過しました。環境構築もまだ完璧といえる状況にはありませんが、おおむね日常の運用に支障がない範囲での構築はほぼ完了し、今ではほぼMBAを触っている生活を送っています。

 今回の作業の中で一番ネックになったのが、「今までWindowsで運用していた膨大なiTunesライブラリをどうするか」ということです。作業前の段階ですでに30GB以上も音楽データがあったため、なにも考えずただ単純にMBAにデータをコピーしていた場合、約4分の1がiTunesで埋まってしまう計算になり、限りあるMBAのストレージ事情が残念な状況になってしまうのは想像に難くありませんでした。
 そこで、「ライブラリをまるまるネットワークで共有してしまえば、どのPCからでも音楽が聴けるようになるはずだ!」と考え検討に入りました。やっぱり世界には同じ事を考えている人間が絶対いるようでして、検索してみると先人の知恵がすでにかなり蓄積されている状態にあり、最初考えていたよりもスムーズに作業は進行しました。しかし、後述するWindowsとMacの文字コード処理の違いに悪戦苦闘してしまったため、膨大な時間がかかってしまいました。

これから、文字コードの部分も含め自分が取った共有方法を書いていきたいと思います。

さて、最初に大まかなフローを書いてしまうと

①iTunesライブラリを母艦からネットワーク上に移行する
②ライブラリを共有したいPCそれぞれからネットワーク上のライブラリを参照するように設定変更する
③(WindowsとMac間で共有する人限定)文字コードに起因するリンク切れの対策をする
④本来iTunesで想定されていない動作のため、ライブラリのDBに当たるファイルをDropBoxでバックアップする(オプション)

という4つの手順を取りました。念のため、作業に入る前に最低限DBファイル(iTunes Library.itl,iTunes Library.xml,iTunes Library Extras.itdb,iTunes Library Genius.itdb)だけでもバックアップを取ることをおすすめします。

①iTunesライブラリを母艦からネットワーク上に移行する(参考リンク
 最初に、今まで使っていた母艦(Windows7、現在我が家で一番スペックの高いマシン)から、常時ネットワークでデータをホストできるマシンにライブラリを移行する作業を行います。ネットではNASを使った共有が一般的なようですが、今回は普段使っているファイルサーバー(WindowsXP、用済みになったPCの使い回し)があるため、それを流用します。

 今までは、[iTunes Media]フォルダ(音楽データやiOSデバイス用のアプリなど、iTunesが扱うデータを一元管理するフォルダ)を使わずにライブラリを管理していました。今回は、そのままの状態でライブラリを移行すると、ライブラリのリンク切れだけで膨大な手間がかかってしまうことと、[iTunes Media]フォルダを使って管理することで今後リストアする際にバックアップしてあるフォルダをまるまるコピーしてライブラリを指定してやるだけで復元か完了することを踏まえ、「ライブラリを統合」する作業を行いました。

 方法としては、環境設定から[iTunes Media]フォルダをネットワーク上のフォルダ([iTunes]→[iTunes Media]というディレクトリ階層で作ることが望ましい)に指定し、メニューから[フォルダ]→[ライブラリ]→[ライブラリを整理]の順序で選択します。そのあと出てくるダイアログで[ファイルを統合]のチェックを入れて[OK]をクリックします。すると勝手にiTunes側で作業してくれますのであとは待つだけ(参考:30GBで1時間弱)です。
 最後に母艦に残っているDBをネットワーク上の[iTunes]フォルダにD&Dしてこのステップは終了になります。

②ライブラリを共有したいPCそれぞれからネットワーク上のライブラリを参照するように設定変更する
 次に、ネットワーク上のDBを参照するようにiTunesの設定を変更します。WindowsだとShiftキー(Macではoptionキー)を押しながらiTunesを起動すると[iTunesライブラリを選択]というダイアログが現れます。そこで、[ライブラリを選択]をクリックし、ネットワーク上の[iTunes Library.itl]というファイルを選択すると、そのライブラリを読み込んだ状態でiTunesが立ち上がります。これを同じライブラリを使いたいPCの台数分実行してこのステップは終了です。

③(WindowsとMac間で共有する人限定)文字コードに起因するリンク切れの対策をする(参考リンク
 WindowsとMacでライブラリを共有している場合、一部の楽曲でライブラリからリンクが切れてしまう現象が今回見られました。原因を調べてみると、「゛(濁点)」と「゜(半濁点)」がファイルパスに入っている場合にWindowsとMacで文字の処理方法が違うためにiTunesが行方を見失ってしまうということのようです。そこで、まずWindowsとMacのiTunesで環境設定から[“iTunes Media”フォルダを整理する]のチェックを外します。つぎに、リンク切れを起こしているファイルの名前で濁点と半濁点が入らない名前に置き換えます。そのあとでiTunes上でリンクを直してあげると、OSをまたいでもリンクが切れないようになります(それでも直らない場合はフォルダ名も同様に直す)。

④本来iTunesで想定されていない動作のため、ライブラリのDBに当たるファイルをDropBoxでバックアップする(オプション)
 現状、iTunesではホームシェアリングなどデフォルトで用意されている共有手段以外の手段で実現することが想定外だと考えています。現に③のような問題も発生しているので、運用の段階でDBファイルがいつ壊れてもおかしくないと思っています。よって今回はDropBoxを使ってバックアップを行うこととします。理由としては、普段からDropBoxを使っていて都合がよかったからというだけです。

 DropBoxは設定されているフォルダに入ってるファイルを自動的にDropBoxにアップロードし、リンクされているPCに自動的に同期されます。よって使っているだけでDropBoxにリンクされているすべてのPCに自動的に同期されるためバージョン管理(過去30日間の変更履歴が保持される)と多重バックアップを勝手にやってくれます。

 まず、使ってない人はここからDropBoxのアカウントを取得します(このリンクから登録すると250MBの容量ボーナスがつきます)。自分はこれでWordやExcelの文書ファイルをそこに保存しておいて大学のPCから呼び出したり、ほかにもATOKの変換辞書を自動的に同期する目的で使っています。無料で2GBの容量が使えて、持っていればそれなりに便利で使いやすいと思いますので、この機会に取ってみてもいいかと思います。

 次に、サーバーの役割をしているPCからDropBoxに定期的にデータをアップロードするように設定します。ここで自分はシンボリックリンクを使おうと考えていたのですが、WindowsXPでは使えないことが下調べの段階で発覚したため、今回はバックアップソフトによる定期バックアップの方法を使って、DropBoxへの定期的なアップロードを勝手にやってもらうことにしました。
 今回使ったのはBunBackupを使いました。ここの説明を参考に、iTunesのディレクトリにあるDBファイル(iTunes Library.itl,iTunes Library.xml,iTunes Library Extras.itdb,iTunes Library Genius.itdb)をDropBoxのディレクトリにコピーする設定を作成した上で、定期的に実行するようにタスクを設定します。

 Windows Vista以降とMacではシンボリックリンクが標準で使えるので、こちらの方法を使った方がよりスマートな方法だと思います。シンボリックリンクは、Windowsでいうならばショートカットの拡張版に当たるもので、リンクとなっているファイルやフォルダを操作すると、リンクされている本物のファイルやフォルダにもその変更がそのまま反映されます。よって、こっちの方が余分なコピーが増えることがありません。

 その際シンボリックリンクでのバックアップにする場合は、実体になるファイルはDropBoxにおいた上で、iTunesのディレクトリにリンクを張るようにした方がいいと思います。この場合でも問題なくiTunesは使えます。

 どちらもOSの機能としては実装されていますが、コマンドラインでの使用が前提になっているためわかりにくいと思われます。なので、Windowsであればリンク作成シェル拡張 for Windowsをインストールします。すると、右クリックのコンテキストメニューでシンボリックリンクを作成するメニューが現れるようになります。そこで、DropBoxにおいてある実体のファイルをiTunesのディレクトリにしつつ作成します。Macの場合だとSymbolicLinkerをインストールするとWindowsと同様にコンテキストメニューに出てくるようになるので、DropBoxにおいてある実体のファイルを右クリックしてシンボリックリンクを作成した上で、出来たリンクをiTunesのディレクトリに移動します。

 これで自分がやった作業はすべて終了です。iTunesのパフォーマンスとしては、MBAで音楽を再生しようとすると数秒待ち時間が発生したりとやはりローカルにデータがないハンデは多少ありますが、おおむね良好に動いています。ここからは完全な余談になりますが、iTunesライブラリをこの方法で共有すると、iPhoneの同期がどのPCでも出来るようになります。DBのファイルには、同期しているライブラリを識別するIDが入っているようでして(参考リンク)、こたつから出たくない冬の時期には重宝しそうです。
 この方法であればレーティングやプレイリストなんかの情報もすべてのPCで完全共有できるため、これから挑戦したい人の参考になれば幸いです。